アイスクリーム類は、日本の法令(乳及び乳製品の成分規格等に関する省令など)によって、含まれる乳固形分と乳脂肪分の量に基づいて厳密に分類されています。
それぞれの違いと、それに伴う健康への影響についてご説明します。
1. ラクトアイス、アイスミルク、アイスクリーム、氷菓の違い
| 種類 | 乳固形分(水分を除いた乳成分) | うち乳脂肪分 | 特徴と風味 | 主な使われ方 |
| アイスクリーム | $15.0%$以上 | $8.0%$以上 | 最も濃厚でコクがあり、ミルクの風味が豊か。 | 高級アイス、リッチなフレーバー |
| アイスミルク | $10.0%$以上 | $3.0%$以上 | 牛乳とほぼ同程度の乳成分。あっさりとした味わい。植物油脂が使われることもある。 | 一般的なカップアイス、コーンアイス |
| ラクトアイス | $3.0%$以上 | 規定なし | 乳成分が最も少ない。植物油脂が多用され、さっぱりと軽い口当たり。 | 大容量パック、安価なアイス |
| 氷菓 | $3.0%$未満 | 規定なし | 乳成分はほとんど含まない。果汁やシロップを凍らせたもの。シャリシャリとした食感。 | かき氷、アイスキャンディー、シャーベット |
ポイントとなる成分
- 乳固形分:牛乳由来のタンパク質、炭水化物、ミネラルなどの総量。これが高いほど、ミルクの栄養価が高くなります。
- 乳脂肪分:乳固形分に含まれる脂肪。これが高いほど、アイスのコク、なめらかさ、豊かな風味が増します。
- 植物油脂:ラクトアイスやアイスミルクでは、乳脂肪分の不足を補い、口当たりをなめらかにするために使われることが多いです。
2. 健康への影響について
種類ごとの健康への影響は、主に脂質の種類と量、そして糖質の量によって異なります。
🍦 アイスクリーム (高脂質・高カロリーの傾向)
- 長所:乳成分が多いため、カルシウムやビタミンといった乳製品由来の栄養素を比較的多く含みます。
- 短所:乳脂肪分が多く、製品によっては高カロリーになりやすいです。食べ過ぎは飽和脂肪酸の過剰摂取につながり、脂質異常症や動脈硬化のリスクを高める可能性があります。
🥛 アイスミルク・ラクトアイス (植物油脂と糖質に注意)
- 長所:アイスクリームより乳脂肪分が少なく、比較的低カロリーな製品もあります。
- 短所:
- 植物油脂を多く含むことが特徴です。植物油脂は乳脂肪のコクを補うために使用されますが、製品によってはトランス脂肪酸が含まれる可能性があり、過剰摂取は心血管疾患のリスクを高めることが懸念されます。
- 脂肪分が少ない分、風味や口当たりを維持するために砂糖(糖質)が多く使用されている場合があり、結果としてアイスクリームと同等、あるいはそれ以上のカロリーになることもあります。
- 栄養価(カルシウムなど)はアイスクリームに比べて低くなりがちです。
- 口当たりが軽く食べやすいため、つい食べ過ぎてしまう傾向もあります。
🍧 氷菓 (低脂質・糖質のみに注意)
- 長所:乳成分がほとんどないため、非常に低脂質です。一般的に、他のアイスに比べてカロリーは控えめなものが多いです。
- 短所:多くが糖質と水分で構成されています。「氷だから大丈夫」と油断して食べ過ぎると、糖質の過剰摂取につながります。特に果糖ぶどう糖液糖などの加工糖が多く含まれる製品は、血糖値の急上昇に影響する可能性があります。
全てに共通する健康への影響
どんな種類のアイスでも、過剰に摂取すると以下のリスクが高まります。
- 体重増加と肥満:カロリーオーバーになりやすく、肥満につながります。
- 血糖値の乱高下:含まれる大量の砂糖により、血糖値が急激に上がり下がりし、糖尿病のリスクを高めます。
- 体の冷え:冷たい食べ物は胃腸を冷やし、消化不良や代謝の低下につながることがあります。
まとめ:賢い選び方
- コクと風味を重視し、たまに楽しむなら、乳成分が多いアイスクリーム。
- さっぱり感やカロリーを気にするなら、成分表示を見て植物油脂や糖質の少ない****アイスミルクまたは氷菓を選ぶのがおすすめです。
- 習慣的に食べる場合は、量と頻度に注意し、シンプルな原材料のものを選ぶように心がけましょう。

